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【自己否定の深堀り①】なぜ人間は自己否定するのか 自己否定の仕組みを紐解く

人はなぜ自己否定をするのか
waku

友達で自己否定を繰り返す人がいるの、何とかしてあげたいけど、どうすればいいの?

Kuru

自己否定に対する理解を深めることからだね

多くの人が自己否定をします。ということは自己否定には誰もが共通する法則性があることになります。今回は、どのような仕組みによって自己否定が起きているのかを紹介しながら、変えるべき常識についても踏み込んでいきます。

✓記事の内容

・自己否定が引き起こす習慣とは
・自己否定の原因はなに?
・自己否定についての変わるべき常識とは

目次

自己否定が引き起こす習慣

自己否定は自分で確認できるにもかかわらず、自分ではなかなか変化させずらい現象です。 またその影響は、創造性や生産性、個性や生き方へと幅広く影響を与えてしまうやっかいなものです。

自己否定につながる解析(考え、感情、イメージ)はどのようなものがあるでしょうか。

自己否定の時は、「否定」「依存」「感情の起伏」「被害者意識」「受動」が働きやすい傾向があり、さらなる自己否定の材料となってしまいます。

否定を繰り返すネガティブ思考

自己否定をしている時、または自己否定が始まる時は自分の価値が低く、何をするにしても「できない」という解析が繰り返されます。

出来ない自分を肯定しようと、出来ない理由を考え、さらにその理由が自分を否定する材料となり、やっぱり私は、、、と繰り返してしまいます。

これがネガティブ思考と呼ばれる現象です。

他者への依存度が高い

否定する解析と真逆に位置するのが意志決定です。

否定は自分という存在と自分の決定についても強く働きます。

意志決定することで、人は自己存在を実感します。意志決定は他者との違いをつくりだします。そのため、違いをつくろうとする意志決定そのものを否定してしまいます。

結果として、他者の意志決定にゆだねることになり、他者への依存度が高くなってしまいます。

感情の起伏が激しい

自分自身の否定は、自分を傷つけることにつながります。

もちろん、心から望んではいないので、なんで私がこんな目にあうのだろうかと感情のフラストレーションが蓄積することになります。

蓄積が発散できずたまってしまうと、他者の行為に対して感情的に反応してしまったり、必要以上に思い込んでしまい、自分でもコントロールできず爆発してしまいます。

コントロールできない感情もまた、自分を否定する材料となってしまいます。

被害者意識が強い

自己否定を加速させるのが被害者意識です。

私は被害者だという自己認識に固定されると、あらゆる情報に対して過剰に自分を守ろうとする解析が反射的に走り出してしまいます。

この情報は私を攻撃しているのだろうか、この人は私を否定しているんじゃないだろうかという解析がすぐに走り出してしまうのですから、人の話は聞けなくなり、情報の整理も出来なくなります。思い込みであると気付くきっかけを失うことになります。

受動的なとらえ方

自己否定も被害者意識も誰もが持っています。 その意識の違いは、受動的な捉え方によって生まれます。

特に「自分は何者なのか」について受動的に捉えていると、自己否定の解析が増える傾向にあります。

本来自分が何者なのかは自分が決めるものです。しかし、そこに他者を介在させてしまうと、自分の考え方や行動を常に他者と比較しながら、間違っていないかを確認するようになります。

自分の人生なのに、他者を気にしながら生きることになります。 その中で強い怒りや恐怖を経験すると、自己否定や被害者意識も強くなってしまいます。

自己否定の原因は過去の経験なのか

自己否定の原因は、通説では、幼少期の環境や人間関係による経験が原因となると考えられています。

確かに、どんな経験をしたのかによって人生は大きく変わります。 特に分かり合えない経験は人生を大きく決定づけるほどの力を持っています。

しかし、それだけでは、不特定多数の人たちが年齢問わず自己否定をしてしまうには説得力が薄いと考えています。

また、自己否定からの卒業を考えた場合、過去の経験を原因にすると、癒す方法しかないという限界もあります。

疎通の課題を解決するONECYCLE7では、自己否定の原因は脳の認識構造にあると考えています。
脳に自己否定を生み出す原因があるため、様々な経験によって学びを得てるにもかかわらず、自己否定を繰り返してしまうのです。

脳が引き起こす自己否定のシュミレーション

脳の認識構造に自己否定の原因があるのだとすると、その仕組みに固定されている限り自己否定からは卒業出来ないことになります。逆に、自己否定がなぜ起きるのかの仕組みが明確になれば、確実に卒業出来ることを意味しています。

脳がどのような仕組みを持っていて、そこから自己否定を繰り返してしまうまでのシュミレーションを紹介します。

認識構造

脳の認識構造は必ず部分だけをとってしまいます。さらに部分情報だけで全体像を決めつけてしまう特性を持っています。

「そら」と聞いて思い浮かぶものは、人によって違います。「青い空」「夜空」「漢字の空」「そらさん」。家族の間でも思い浮かぶ結果が異なります。

数年の付き合いのある職場の上司について、プライベートな話をはじめて耳にすると、上司のイメージが変わることがあります。プライベートという部分情報が上司の人物像に影響を与えた結果です。

脳は部分情報だけで全体像を決めつける仕組みを持っています。
これが自己否定の根本原因です。

自分に確信が持てない

認識構造の「部分情報だけで全体像を決めつけてしまう結果」は、自己認識に対しても働きます。

自分の存在の全体を認識できず、部分情報だけで「〇〇な私」と決めつけてしまうため、自分に確信が持てなくなります。

確信とは、どんな条件・状況・環境でも、「〇〇な私」が変わらないことを指しています。

しかし、認識構造の特性が働くと、パートナーがいるのかいないのか、ミスした直後なのか大成功した直後なのか、遊んでいる最中なのか仕事中なのかで、どんな私なのかが変わってしまいます。

条件・状況・環境によって自分が何者なのかがコロコロと変わってしまうことで、自分自身に確信が持てなくなります。

足りない何かを補おうとする

「確信が持てない」を別の言葉で表すと、何かが足りないという欠乏感になります。

現実の世界には比較する対象がたくさんあります。スマホで見る情報から身近な人間関係、過去の自分や思い描く理想などと出会うことで、自分の足りなさに気付く機会は溢れています。

脳は何かが足りないと認識した瞬間に補おうとします。特に、自己存在については強く働きます。

何が足りないのかを特定することもせず、すぐに補い始めてしまいます。

否定する解析が最も安定している

認識構造が働くと、その認識の結果には不完全性が付いて回ります。

足りない何かを補っても、脳が認識した瞬間に不完全が生まれてしまうため、いつまでたっても補い続けようとします。

補い続けていく中で、より安定で確信に近いものを選ぼうとします。

”脳が認識する世界”で最も安定的で確信に近いのが、「不完全なものを不完全であるとする解析」です。

認識した結果には必ず不完全が含まれているため、不完全を不完全だと決めつける解析はあらゆる事象に当てはめることが出来ます。また、説得力を感じやすくもあります。

持続的な自己否定

「不完全なものを不完全であると否定する」解析の時は、不完全さを補っていると脳が錯覚してしまいます。

しかし、一時的な効力が切れるとまた不完全を探し始め、補い始めようとします。

不完全なものを不完全であると否定する解析が続く限り、生きている限りずっと繰り返すことになります。

自己否定について変えるべき常識

脳の認識構造に自己否定の原因があり、その仕組みが働くことで自己否定を続けてしまうことをお伝えしました。

自己否定が仕組みで起きているのであれば、その変化も仕組みに基づいて取り組むことになります。これまでの個人に問題があるとする常識は変える必要があります。

自己否定の原因は個人の問題ではない

これまでの自己否定の原因は「個人の問題」だと考えられてきました。 だからこそ、個人特有の経験にフォーカスが当てられてきましした。

しかし、原因は脳の認識構造にあります。

脳の認識構造が原因だということは、個人の問題として対応するではなく人間共通の問題として対応すべきです。

自己否定を変化させようと取り組むときに、個人の問題としてきた基準軸から、人類共通の問題であるという基準軸へ移動させる必要があります。

脳が自己否定していることを観察する私になる

これまでは、「私、また自己否定している」と自己否定していることを止められずに自分の尊厳を自ら傷つけてしまっていました。

これからは「脳が自己否定をしている」と観察する対象に変えましょう。

これは、「脳の振る舞いと自己認識」を同一視していた常識を、「脳の振る舞い」と「自己認識」を切り離して対応する基準へと移動することを示しています。

脳の認識構造は、自分という存在の不完全を見つけ出そうとします。 でもそれは脳がやっていること。私がしたいことではないはずです。

「脳がやってしまうこと」と「私がしたいこと」を分離することで、脳の振る舞いを観察することができ、余裕を持って対応することが出来ます。

脳が自己否定してしまうことを観察する私になりましょう。

自己否定の課題は脳にあり

数学の問題は数学に基づいて答えるべきです。 同じように、自己否定の問題も脳の認識構造の仕組みに基づいて対応するべきです。

自己否定によって凹んだ心を食事やお酒で自分を取り戻そうとするのは、「数学」の問題を「体育」で解決するのと同じようなものです。そもそも否定する解析と自分自身はまったく別モノです。

自己否定を引き起こしがちな、他者との関係、出来ない・足りない・分からないことへの自覚、失敗やミスによる喪失を自己認識とつなげたところで、何も解決できません。それどころか余裕がなくなり同じことを繰り返すことになります。

「微分積分」は「スクワット」で解けないことは誰もが知っています。 微分積分の問題を解くのであれば、微分積分のルールを理解することから始めるように、自己否定の問題は脳の認識構造を理解するところから始めましょう。

自己否定の問題は、脳の認識構造の仕組みによって解決しましょう。

理性は、自己を否定することによって自己を混乱させ、ついには理性本来の義務から自己を解放するにいたる。不条理な精神とは、自己の限界を確認している明晰な理性のことだ。アルベール・カミュ

まとめ

・自己否定の時は、「否定」「依存」「感情の起伏」「被害者意識」「受動」が働きやすい傾向があり、さらなる自己否定の材料となってしまう。
・疎通の課題を解決するONECYCLE7では、自己否定の原因は脳の認識構造にあると考えています。
・脳が自己否定を続けるシュミレーション 認識構造→自分に確信が持てない→足りない何かを補おうとする→否定する解析が最も確信的→持続的な自己否定。
・自己否定が仕組みで起きているのであれば、その変化も仕組みに基づいて取り組むことになる。これまでの個人に問題があるとする常識は変える必要がある。

自己否定について深めてきたとおり、自己否定には、脳の認識構造があり、脳の振る舞いと自分自身を分ける必要性があることがみえてきました。

これは自己否定そのものや、自己否定している私を否定するのではありません。 自己否定の経験があるからこそ、得ることが可能な知見です。
これまでの涙を越えて、歓びの涙にするための内容です。

人はなぜ自己否定をするのか

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