分かり合う時代をめざして

思い込みの関係構築からの脱出【疎通のメカニズム4】

waku

ファクトフルネスを読んだわ、興味深かったわよ

Kuru

思い込みに関する内容だよね、思い込みは関係構築にも大きな影響を与えるんだ

相手に対する思い込みや自分に対する思い込みは、関係構築に大きな影響を与えます。
今回は、思い込みと関係構築の関係について深めていきます。

✓記事の内容

・思い込みとは
・脳の仕組みがつくる思い込み
・関係構築のファクトフルネス

目次

ベストセラーにもなった勝手に思い込んじゃう件

ファクトフルネスが世界的ベストセラーになりました。

人々の脳が無意識に「ドラマチックすぎる世界の見方」をしてしまうことに警鐘を鳴らしています。
例えば、誰もが世界は悪い方へ向かっていると思っているが、実際は、災害の死亡者数は減り、極限の貧困も減り、人口の増加にも歯止めがかかっている。そこに気付かずに、間違った行動や発信をしてしまっているというものです。

本書によれば、人の進化の過程において人間の脳に組み込まれてきた「瞬時に何かを判断する本能」や「ドラマチックな物語を求める本能」が思い込みの原因だとしています。
世界を正しく認識するには、そういった本能の存在を認め、抑制する術を学ぶ必要があるというのが、ファクトフルネスの要となります。

この思い込みで認識せず、事実に基づいて認識するというのは、人間関係や自分自身への理解についても当てはまります。
特に自分自身に対しての思い込みは、人生へとても大きな影響を与えてしまいます。

思い込みとは

思い込みとは、事実と一致していない決めつけを指します。

なぜ多くの人が思い込みをしてしまうのでしょうか。

脳には世界を認識するときに働く、認識構造という仕組みがあります。 その仕組みの中に、記憶という過去のデータバンクに基づいて、理解や解析(考え、感情、イメージ)を行う仕組みがあります。

脳は世界であれ、自分であれ、何か対象を理解するときに必ず、記憶である過去のデータバンクに検索を行い、名前を付け理解しようとします。

この過去のデータバンクに基づいて理解しようとする仕組みが、勝手な思い込みを作り出してしまいます。

ここで重要なのは、思い込みとは個人の問題ではなく、脳の仕組みが思い込みをさせているということです。

思い込みが与える影響

嫌いな人とこれから会うことになるとなれば、心にはモヤモヤが広がっていきます。 逆にこれから大好きな人と会うとなれば、心にはウキウキが広がっていきます。

その人が嫌いな人なのか好きな人なのかは、自分の勝手な思い込みであって、その人自身を表現したものではありません。
これは自分自身に対しても起きていることです。

思い込みが関係構築にどのような影響を与えるのかを見てみます。

脳の勝手な思い込みに振り回され続けている限り、関係構築はうまくいきません。

関係構築は何に基づけばいいのか

ファクトフルネスでは、事実データに基づいて考える力を付けることを勧めていますが、関係構築についてはどうすればいいのでしょうか。

相手の事実データを収集するわけにはいきませんし、心理学などの専門書や政府の出している統計データをいちいち読み込むわけにもいきません。 また、関係構築の要でもある自分自身との関係構築についても、思い込みを外すことは至難の業です。

関係構築については、誰もが持っている脳の認識構造に基づくことで、勝手な思い込みによる関係構築を解消できます。

思い込みが生まれる認識構造の仕組み

思い込みは脳の認識構造で生まれます。

脳の認識構造は、目の前の存在や現象に対して初めに名前を付けて(What)理解しようとします。
この時に、自分の記憶(過去のデータバンク)に基づいて名前を付けようとします。 ここで働くのが思い込みです。

つまり目の前で起きていることが何か(What)を事実ではなく、自分の過去のデータバンクに基づいて勝手に理解してしまうことが思い込みの生まれる仕組みです。

思い込みが生まれてしまうと、自分が名付けたはずのWhatについて「なぜそう言えるのか」という疑問や観察が出来なくなります。 逆に事実に基づいている時は、「なるほど、だからこれはこうだと言えるのか」とWhatをしっかりと理解するところから始まります。

相手の話や自分自身について思い込みが働いている時は、Whatは脳が一瞬で勝手に決めつけてしまうため、そもそも自分が何を(What)見ているのかさえ自覚がなくなります。

認識構造は関係構築のファクトフルネス

脳の認識構造は、認識のクセと解析サイクルで成り立っています。
私たちは、「脳が認識した世界」(認識のクセ)に「解析(考え、感情、イメージ)を付けた世界」(解析サイクル)を上書きした現実という世界に生きています。

ポイントは、認識のクセは部分をとるということ、そして部分に対して名前を付けて理解しようとすることです。

どの部分に対して、どんなWhatを付けているのかを観察することが、関係構築のファクトフルネスになります。

人に対する思い込みの場合

その人のある部分だけをとってその人の存在すべてを決めつけてしまいます。
この時思い込みに振り回されないためには、自分がどの部分をとって、この人は〇〇な人だ(What)と理解したのかを観察することであり、間違いなくそれは部分情報であることを理解することです。

自分に対する思い込みに振り回されないためには

自分のある部分だけをとって自己存在のすべてを決めつけてしまいます。
この時も、自分のどの部分をとって自分自身に対する決めつけ(〇〇な私)をしたのかを観察することであり、間違いなくそれは自分の部分情報であることを理解することです。

人の話に対する思い込みに振り回されないためには

その話の部分(例えば単語)だけをとって、話のすべてを決めつけてしまいます。
この時は、その人がどの部分をとって、どんなWhatを決めつけたのかを観察することです。
他のWhatとして理解する事も出来たはずなのに、なぜそのWhatを付けたのかを理解することが必要になります。

まとめ

・思い込みで認識せず、事実に基づいて認識するというのは、人間関係や自分自身への理解についても当てはまります。
・思い込みとは個人の問題ではなく、脳の仕組みが思い込みをさせているということです。
・目の前で起きていることが何か(What)を事実ではなく、自分の過去のデータバンクに基づいて勝手に理解してしまうことが思い込みの生まれる仕組みです。
・認識のクセは部分をとるということ、そして部分に対して名前を付けて理解しようとすることです。
・どの部分に対して、どんなWhatを付けているのかを観察することが、関係構築のファクトフルネスになります。

人間関係のトラブルや悩みのほとんどは、勝手な思い込みが影響を与えています。
自分の思い込みを観察出来れば、相手の思い込みに対応する事も出来ます。
思い込みから脱出できることは、心の平和につながりますよ。

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