分かり合う時代をめざして

相手に振り回されない関係構築 一貫した関係性のつくり方

一貫した関係性のつくり方
waku

人間関係って難しいわ、どうすればいいのかしら

Kuru

一貫した関係性をつくれると、振り回されなくなるよ

人間関係は人生においてとても重要なキーワードです。 人はソーシャルアニマルと呼ばれるほど、関係性に強く影響を受けています。 だからこそ、関係性に振り回されてしまうのも多くなってしまうものですよね。人間関係ほど不安にさせるものはありません。

今回は、振り回される人間関係を卒業するための、一貫した関係性のつくり方についてお伝えします。幸せに近づく大きな一歩となります。参考にしてみてください。

✓記事の内容

・関係性を人に合わせていると振り回されてしまう
・一貫した関係構築をつくる5つの項目を紹介
・一貫した関係構築の具体事例も紹介

目次

振り回される原因は相手によって関係の作り方を変えているから

関係性に振り回されてしまうのは、関係性の作り方が個別対応になっているからです。

日常的に会う人は様々ですよね。嫌いな人、優しい人、はじめて会う人、古い友人、経験知識が豊富な人、育てている後輩、大切にしている人etc。

会う人が異なれば、関係のつくり方にもそれぞれに違いが生まれてしまうのは自然なことです。 しかし、それでは相手に振り回されてしまうことになります。

私達は、良くも悪くも表面的なところだけを見て、関係性を作ってしまいます。相手の使う言葉、行動、判断基準、考え方をみて、この人はこんな人だと思い込んでしまいます。日常の中で「相手を深く理解すること」は重要視されていません。

ではどのように考えればいいのでしょうか。

着目すべきなのは、全ての人に共通した関係構築です。

ポイントは関係構築の対象が人間であること

全ての人に共通した関係構築では、考えるべき対象は「個人」ではなく、「人間」になります。

「人間」を対象にすることで、どんな相手でも関係構築の姿勢やアプローチが変わらない「基本」を持つことが出来ます。その基本ベースの上で、相手に合わせた対応することになります。

誰に対しても変わらない関係構築の基本を持つと、気持ちの不安定さを無くすことが出来ます。 さらに余計な考えを止めることが出来るのも大きなメリットです。そして何よりも、様々な場面を通して、関係構築の基本を磨き続けることが出来るので、相手の本質深くと短い時間で関係を作れるようになります。

一貫した関係構築を設計する5つの項目

全ての人に一貫した関係をつくるには、深く考える力を持つ必要があります。

表面的な考え方では、相手の言動や環境に振り回されてしまい一貫した関係構築が出来ません。

一度で完璧を目指そうとせず、何度も考え、じっくりと時間をかけながら取り組む内容になります。 明確に設計することが出来れば、自分の人生に活かすだけではなく、あなたの周りの人の支えにもなるはずです。一緒に突破していきましょう!

①あなたは何者なのか

関係構築をする上で、最も影響を与えているのが、自分をどう思うのかという自己認識です。

自己認識は、関係構築の考えや感じ方の前提となります。

自信のない人は、自信を補う考え方や自信のなさが、関係構築に影響を与えます。 例えば、自信がない自分がどうやって関係を構築すればいいのかと、条件反射的に考えてしまいます。

また、もっと経験を積む必要性を感じている行動派の人は、経験のなさを補う考え方や積極的に捉える感じ方が前提となり、行動を止めないように気を使うでしょう。

このように自己認識は関係構築に影響を与えます。

ではどんな自己認識を持つといいのでしょうか。

それは、自分の人生を創造する主体者です。

自分の考え方ひとつ、感じ方ひとつが人生を創造しています。どんな考え方、感じ方を生み出すべきかを決定する主体としての自分です。

②人間とは何か

関係をつくる対象である「人間」についても考える必要があります。

「人間とは何か」の答えが、いくつもあると関係構築もバラバラになってしまいます。まずはひとつに絞っていくとよいでしょう。

ではどのように考えていけばいいのでしょうか。

それは、「あなたが思う人間の中心にあるのは何か」が答えになります。

「魂」と答えたら、あなたは相手の魂と関係をつくることになります。「意思」と答えたらあなたは相手の意思と関係をつくることになります。

ここでの中心となる「〇〇」とは、その人の言葉や考え方、感じ方や判断基準など、人生のあらゆるものが、その中心である「〇〇」から始まっていることを指しています。

「中心である〇〇がなくなったら、人間とは呼べない」とイメージできる「〇〇」を選びましょう。いくつか出てきた場合は、消去法で重要度の濃いものを選びましょう。

ネガティブなイメージしか出てこないという方は、人間不信や先入観に固定されている可能性があります。それはひるがえって、あなた自身のイメージでもあります。 自分の無意識と対話するセッションをおすすめします。セッションの中で出てきた自分の言葉に、人間の中心にあたる言葉も出てくるはずです。

なかなか決めることが難しいという方は、「意思」と仮決めしてみましょう。 この場合、人間とは「意思」を中心に、考えや感情、行動を行う存在なり、どんな行動や感情の根底には、意思があることになります。

③どんな関係をつくり続けるべきか

ここまでで、自己認識を「人生を創造する主体者」。人間とは「意思」(仮)を中心に持つ存在と定めてきました。

ここからは、この自分がどんな関係を作り続けるのかを考えていきます。 考え方のポイントは、「相手に何を貢献するのか」です。

イメージの補完として、自分が感じる魅力的な人を想像してみましょう。

  • 会うたびに行動や発言がコロコロと変わる人よりも、自分の軸を持って変わらない人柄の方が信頼が出来ます。
  • 周りの環境や人の愚痴を言う人よりも、その人と会う価値を感じさせてくれる人は魅力的です。
  • 自分の考え方や感じ方を押し付ける人よりも、相手を深く理解しながら意見を交流できる人はずっと交流していきたい人です。

魅力的な人の多くは、自分の観点に固定せず、他者との交流の中で何かを与え続けられる人ですね。与えるといっても独りよがりでは、逆に煙たがれてしまいます。だからこそ、貢献という言葉を使いました。

ではどのように考えていけばいいのでしょうか。

まずはシンプルに、「元気に挨拶」「笑顔で声かけ」「気持ちを引き出す」など簡単なものでいいんです。大事なのは、自分の当たり前なこととして持続できるかどうかということ。 そして、「私にとって元気とは何か」「私にとって声かけとは何か」と私流の概念を組み立てていくことです。

本格的に考える場合は、問題意識を設定することになります。この時代の中で最も解決すべきだと思う問題とは何かが、あなたがすべての人に貢献すべきことです。

これが集まれば自然と自分軸になっていきます。

④相手の何と出会うべきか

ここまでくればあと少しです。

関係性をつくるには、相手と出会わなければなりません。 自分の勝手な思い込みや決め付けで関係をつくるのではなく、相手と出会う必要があります。 とはいっても、相手の何と出会うべきなのでしょうか。

この項目が決まれば、誰に対しても変わらない一貫した出会い方が作れるようになります。

ここで必要になるのが「人間の中心とは何か」です。

例えば、「人間の中心」を意思とした場合、「相手の何と出会うべきなのか」も意思となります。 この時、同時に「その人のあらゆる言動はその人の意思から始まっている」を設定したことにになります。

この、「その人のあらゆる言動はその人の意思から始まっている」に対する理解が深ければ深いほど、相手との出会いも深くなります。 人が発する言葉をそのまま聞くのではなく、その裏にある真意と出会える能力が身に付きます。

これまでのどの項目についてもいえることですが、この項目も設定した内容を基に、自分の世界観をじっくりと創っていかなければなりません。

設定したからすぐに人間関係が変わるというものではなく、自分の中で数か月かけながら、設定する前の自分と、考え方や感じ方、思い方がどのように変わっていくのかを醸造する気持ちで取り掛かるのが良いでしょう。

⑤出会うための問いを持つ

最後の項目になります。

ここまで設定出来れば、あとは具体的に相手とどのように出会うのかとなります。

相手が何をどう思い、どう感じているのかは、相手に確認しなければ分かりません。相手との出会いを具体化するには、「質問」を持つ必要があります。

この時に、相手の意思と出会うと設定したからと言って、唐突に「あなたの意思は何ですか?」と質問しても、答えられる人は多くはありません。人は話しながら自分の内面を整理していきます。相手の話に出てきた言葉を使い、内容を掘り下げる質問をしていくとよいでしょう。

ここでのポイントは、「相手の何と出会うべきか」で設定した内容が、相手の会話の中に多分にちりばめられているということです。

相手が思ったこと、感じたこと、気付いたこと、考えたことはすべて、その人の中心と繋がっています。相手の話のどんな言葉に、その中心が隠れているのかをよく観察し、キャッチして質問に変えていくとよいでしょう。

具体的な質問の資料を掲載します。参考にしてみてください。

一貫した関係性構築デザインの具体的事例

5つの項目を実際に決定して、習慣化まで取り組もうとすると、数か月という時間がかかることになります。

一人で構築するにはとてもハードルが高くなります。 これをどのように取り組みを、トレーニングという形で提供しています。 そんな私の5つの項目を具体的な事例としてご紹介します。

私の関係性をつくる5つのデザイン

①あなたは何者なのか:疎通の課題を解決する人

②人間とは何か:意思

③どんな関係をつくり続けるべきか:疎通の課題を解決する関係をつくる

④相手の何と出会うべきか:相手の意思と出会う

⑤出会うための問いを持つ:5つの質問

具体的事例

相手が自己否定をしている場合、どのような関係構築になるのかをお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。

■自己価値が低いA子さん

母親から何をやっても認めてもらえないことにより、自己価値が低く涙をたくさんため込んでいたAさん。

ある正月の時の話です。 正月の準備を高齢の母親の代わりにあれやこれやと整え、順調に乗り越え、無事正月を終えホッとした時に、母親から不満をこぼされてしまったそうです。その時に母親に対する怒りがどっと溢れ、涙が止まらなくなってしまいます。「結局、何をやっても認めてくれないんだ」と、この先、何もする気が無くなってしまったと相談を受けました。

■何に苦しんでいるのかを聞く

まずは、Aさんの現在地として、どんな状況なのか、何に苦しんでいるのかを聞きます。

いろいろな話が出てくる中で、苦しみを最も生み出していたのは、「母親から認めれもらえれば自己肯定、認めてもらえなければ自己否定」という判断基準でした。

この判断基準を心から受け入れているのなら、認めてもらえなかった場合、自己否定をするだけで、そこに苦しみや怒りは出てこないはずです。やっぱり私はダメなんだと思うだけで、感情的にはなりません。

しかしAさんは怒りや涙が出てきました。ということは、何か心が抵抗をしているということです。Aさんの場合は、母親が認めてもらえず自己否定してしまう、この受動的なとらえ方を心の中で嫌だと感じているということが明らかになりました。

どんな意思を持っているのか

言葉にできず、苦しんでいた心の声「受動的なとらえ方、生き方は嫌だ」というのは、Aさんの意思だとも言えます。

Aさんが認識している世界は、「受動的な生き方はしたくない」という意思を無自覚に持っていて、その意思と現実とのギャップに苦しんでいたと整理することができます。

どんな関係を作り続けるのか

Aさん自身の中にある「受動的な生き方はしたくないという意思」と「受動的な生き方をしてしまう現実」とのギャップが疎通できれば、この悩みは解決できます。

私がAさんに対してつくる関係は、Aさんの中にあるギャップを解消するトレーニングを提供すること、疎通する技術を身に付けて自ら解決できるように寄り添うこと、となります。

ここで改めて私の設定を確認してみます。

①あなたは何者なのか:疎通の課題を解決する人
②人間とは何か:意思
③どんな関係をつくり続けるべきか:疎通の課題を解決する関係をつくる
④相手の何と出会うべきか:相手の意思と出会う
⑤出会うための問いを持つ:5つの質問

Aさんの悩みを整理して、意思を確認。Aさんの中にあるギャップを明らかにして、ギャップをAさん自身が疎通できるよう、トレーニングを提供する。がAさんに対する一貫した関係性となります。

看護職を近代化させ、憧れる職業に変えたナイチンゲール

一貫した関係性のつくり方は、何も特別なものではありません。

看護士であれば誰もがその意思を学ぶナイチンゲールも、その一人です。

ナイチンゲールが活躍したのは、第一次世界大戦前の1800年代後半です。 女性が働くことさえ難しかった時代に、看護の近代的な仕組みを土台からつくりあげた人です。

当時の看護職は身分が低く、尊敬されない職業だったようです。

そこに統計学を持ち込み、戦時下の中で圧倒的な成果を出したり、多くの著書を出し看護の認知を上げ、学校をつくり後者を育成するなどなど、看護の在り方を定着させるために、90歳で亡くなるまで精力的に活動し、今も世界中の人々から尊敬されています。

そんなナイチンゲールの著者の中にこんな言葉があります。

看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさなどを適切に整え、これらを活かして用いること。また食事内容を適切に選択し適切に与えること。こういったことのすべてを患者の生命力の消耗を最小にするように整えること。

「看護覚え書」

ここから見て取れるのは、患者さんと一貫した関係構築が出来たからこそ、看護全体の底上げに大きな関心を持ち、人生のすべてを活動に注ぐことができたということです。 患者に個別対応する関係構築だったら、看護するだけで疲弊してしまいそうですよね。

5つの項目にまとめてみました。

①あなたは何者なのか:生命力の回復を手助けする人
②人間とは何か:生命力を持っている。患者とは生命力を消耗している人
③どんな関係をつくり続けるべきか:患者の環境を整え、心の安心と身体の健康をサポートする
④相手の何と出会うべきか:心と体の健康状態
⑤出会うための問いを持つ:毎日確認する

今回はナイチンゲールを取り上げましたが、世界をみればたくさんいそうですよね。 あなたの身近にもいるかもしれませんよ。

まとめ

相手に振り回されない関係構築 一貫した関係性のつくり方をお伝えしました。

結論は、相手によって関係構築のやり方を変えるのではなく、すべてに人に共通した関係構築を設計することでした。

ご紹介した5つの項目は、簡単に答えが出るものではありません。身に付けるには丁寧に気付きや発見の蓄積が必要になります。数か月かけながらじっくりと構築していくものです。

一人ではなかなか難しいものですが、身に付ければ一生もののスキルになります。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

一貫した関係性のつくり方

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