時代がどう変わろうと考える力は必要よね
考える力ほど財産や信頼、決断や生き方を好転する力はないんです
社会や国家がどうなろうと、乗り切るための必要な能力として思考力があります。実は思考力は、誰でもすぐに向上させることができ、生き方に大きな影響を与えてくれるものです。今回は、これからの思考力のスタンダードを整理します。
・時代と共に変わる考える力
・Think1.0と2.0、3.0の違い
・私について悩まない時代へ
時代と共に変わる考える力
2022年5月に経済産業省から出された「未来人材ビジョン」では、2050年までに「問題発見力」「的確な予測」「革新性」などの考える力が必要になると言われています。
考える力が時代と共に変わるのは自然なことです。 その時代その時代で、何を主題な問題として取り組むのかが変わるためです。
狩猟時代は食料、農業時代は共同体、産業時代は生産性、IT時代では情報、何をどのように考え、何を軸にするのかは、当然、違いが生まれます。
これからの時代を生きていくために、どのような考える力が必要になるのでしょうか。
キーワードは脳の認識構造です。
参考記事:経済産業省 「未来人材ビジョン」
脳の認識構造とは
脳が世界を理解する時に働く仕組みを認識構造と呼んでいます。
認識構造には、「認識のクセ」と「解析サイクル」があり、それぞれ独立した仕組みを持っています。
認識構造によって私たちは、「部分情報を全体だと思ってしまう」「知っている世界から自由になれない」「解析に解析を重ねる」の影響を常に受けています。
思考や感情、判断や行動などのすべてが、無意識の認識構造の振る舞いに左右されています。
認識構造に固定されているデメリット
認識構造の仕組みには問題はありません。 しかし、認識構造に固定されてしまうと、多くのデメリットを受けてしまいます。その一部をご紹介します。
・人と分かり合えない
・自分のことが分からない
・過去の経験から自由になれない
・自分に確信が持てない
・自分に対する決めつけから自由になれない
・常に他者を気にしてしまう
・尊厳が傷つく
・自分の考えや感情に振り回されてしまう
・自己否定、自己不信が自分を小さくさせてしまう
・意志決定が出来ない
これらは代表的な影響ですが、誰もが無意識にこの影響を受けてしまいます。
認識構造の影響下では、自分が何者でどんな生き方をしたいのかさえ、自らの意思で決定すること、持続することが簡単ではありません。
思考力の進化
物理学の世界では、相対性理論や量子力学の登場前と後では、考え方の出発が大きく変わります。
哲学の世界でも、カント以前と以後では取り組み方の出発そのものが変わります。
どこから世界を捉えるのかが変わることで、世界を理解する範囲や精度を飛躍的な進化が起きます。
思考力の進化とは、考えの出発の違いを指します。
Think1.0は、存在や現象、概念が有ることを前提とする考え方です。認識構造の影響を100%受けた考え方しかできません。 Think2.0は、相対する関係があることを前提とする考え方です。認識構造の仕組みを使った考え方です。
Think3.0は、あらゆる存在や現象、概念、関係が一切無い、オールゼロから出発する考え方です。
Think1.0とThink2.0の違い
古代、複数いた人類種の中から、ホモ・サピエンスが生き残り、今の私たちへと受け継がれています。
なぜホモ・サピエンスだけが生き残れたのかについて諸説ありますが、言語を使い、集団で情報を共有することが出来たからだという説が、世界的ベストセラー「ホモ・サピエンス全史」の中で認知革命として語られています。
私たちの思考は、古代から引き継がれてきたものです。
その後、農業革命や産業革命、哲学の進化が技術革新などを経て、様々な思考法が編み出されています。
しかし、私たちは人間関係に苦慮し、自分の考えや感情に振り回され続けています。
人と人や組織と組織、国と国や自分自身と分かり合うことが出来ないのは、存在や現象、概念が「有る」前提で考えてしまうからです。
この存在や現象、概念が「有る」前提の思考法がThink1.0です。
Think2.0では、あらゆる存在や現象、概念は情報であり、その内容は流動的に多様に変化することを前提とした考え方です。
どの観点や視点から観るのかによって、存在や現象、概念はその内容を変えていきます。この流動的多様性(Fluid diversity)を関係という型を通して考えるのがThink2.0です。
Think2.0とThink3.0の違い
Think2.0にも課題があります。 それは、認識構造の不完全性を超えられてはいない、不完全性の問題です。
Think2.0では、多様な観点に移動することが出来るため、認識構造の仕組みに振り回されることはなくなります。相手との意思疎通、自分自身との疎通、深い観察、創造的な発想も可能になり流動的多様性を理解、観察、デザインすることが出来ます。
しかし、どんな観点に移動しても、不完全性を超えることは出来ません。
観点の不完全性を超えない限り、自分自身に確信を持つことが出来ず、相手との疎通においても完全に一致したところから始めることが出来ません。
これらの課題を解決するのがThink3.0のオールゼロです。
オールゼロ(0=∞=1)は、完全を意味します。常に完全から始めることが出来るため、不完全性をクリアした状態であり、不完全はデザインした結果となり、不完全を補う必要がありません。
オールゼロ(0=∞=1)である完全をすべての人の共通土台とすることが出来るのがThink3.0です。
Think3.0の完全性とThink2.0の流動的多様性
こらからの思考力のスタンダードは、Think3.0の完全性とThink2.0の流動的多様性を身に付けることです。
Think2.0では、認識することが出来る対象をすべて情報として還元し思考すること出来ます。さらにそれらを固定した思い込みで見るのではなく、すべてがつながった多様性を損なわずに思考することが出来ます。
しかしそうなると、情報量が膨大になり、そのすべてを統制することは不可能です。また、意思疎通において、近似値として部分的に疎通することは出来ても、完全に一致することは出来ません。
Think3.0は、完全から始まる一点からThink2.0の流動的多様性のすべてを統制することが出来ます。また、誰もが完全である0=∞=1を共有できるため、常に完全な一致が可能です。
Think3.0において、完全性はどの部分的な世界においても失われることはなく、いつでも完全そのものに戻ることが可能です。
Think3.0を備えた世界では、不完全性さえも意図してデザインする対象に変わり、流動的多様性はどこまでの深い面白味と広い楽しみを現わす世界となります。
私について悩まない時代へ
これまでは、人の考えや感情は、自分自身の不完全性を補うために使われてきました。
自信のない私や愛されない私、出来ない私など、多くの人が「事象」+「私」の自己認識をしています。
本来、私が何者なのかは私自身が決めるものです。 私以外の事象を介在させるべきものではありません。
自信のない私がどんなに頑張っても、自信が持てる範囲は部分的です。 根本的な私に確信を持つことは出来ず、自信のない私を補う生き方が続いてしまいます。
その結果、本当に分かり合いたい人と分かり合えず、自分自身と疎通できない苦しみや悲しみは、様々な形となって社会に現れてしまいます。
Think1.0では、自分自身が何をどう思い、どう感じているのかさえ、深く観察することが出来ません。その思いが「無い」ところからどのように「有る」ようになったのか説明する事も出来ません。
自分の内面でさえも不透明で分からないままです。
Think3.0では、自分の内面のみならず、相手の内面もすべてクリアになります。
自分自身に対する不完全性が消え、「私」とは自ら意図してデザインした結果になるからです。
Think1.0では、不完全な私が起こすストレスや感情の起伏を補い続ける人生でした。
Think3.0では、補う必要はなくなります。私は何者で、何を創造していくのかを実践していくだけです。もちろんチームプレーを通して、何倍も可能性を広げていけます。
私の言語の限界が私の世界の限界を意味する。ウィトゲンシュタイン
まとめ
考える力は誰もがいつでもどんな状況でも、向上させることが出来、生き方に大きな影響を与えるものです。
どうしても難しいという印象を持ちやすくもありますが、考える力を養うのは、これから必須になってきます。